東京医科歯科大学・首都大学東京・東京都市大学
女性研究支援についての鼎談
小川ありがとうございました。それでは、東京医科歯科大学で具体的にどんな活動に取り組んできたかとそれから二年間の成果、どういうものがあったかについてお話し頂けるとありがたいんですが・・・。
谷口医療系の大学ですと、いわゆる医学部歯学部はじめ、付属病院も持っておりますのでそこでの研究と診療と教育が三つの基本の柱です。この支援は、女性研究者対象ということで、一年次は、医学部歯学部とは別にある、付属の研究所の部門に対して支援を行いました。ですから多くの場合、ほとんど研究を実際にやっている方が対象です。臨床のいわゆる女医さん、お医者さんの方を対象にしていません。主に、在宅勤務支援が上げられます。研究なので家で仕事ができるようなシステムで応援ができないかと考えたわけです。それからもう一つは、研究を補佐する、研究補助佐員を事業として組み入れました。研究者の方に補助員を雇って、仕事の効率を上げていただくことが狙いです。あとは、性差医学の普及や、大学教職員全体の意識改革がなんといっても大事ですね。
小川谷口先生、性差医学とは性の差ですよね。
谷口そうですね、男性と女性で医学的にどのように差があるか、という学問分野です。女性支援ということを始めるためには、意識改革が必要と先ほども言いましたが、これを学問的に裏付けることで、意識改革も進むのではないかと思っています。大学という性格から、アカデミックな裏づけがあるとスムーズに進むという傾向があるのです。シンポジウムなどで、理解をすすめ、補助員の配備につなげるという効果を期待しました。補助員配備の成果としましては、そういった支援を受けた女性がキャリアとして他大学の教授とかですね、医術施設の部長職などで栄転した例がありました。支援を受けたお陰でそういった成果が得られたということで個人のキャリア形成としては、大変素晴らしいことだと思います。ただそれによってその方が私どもの大学から出て行かれるので、そうすると女性研究者が一時的に減る訳で、数だけを言われると大変困るんですが、そういう風にして社会的に他に広がっていくことを肯定的に見るべきだと思います。ほかに、在宅についても、出産、育児を経て復職される方への支援という意味もあります。育児中の女性は、勤務先から多少早めに帰って、育児をしてから、家のコンピューターから大学に入っていろんな図書の閲覧とか通常のことでは出来ない外からはできないことをできるシステム組んでおりまして仕事の効率化を計るといったことがされています。