活動スケジュール

第5回女性研究者紹介セミナー 講演概要

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(1)佐藤 幸恵 講師(工学部建築学科)

テーマ 「建物の中身はどうなっているのか」
~見え方を数値化する、見えないものを可視化する~
概要

私は、木、鋼と並び建築物の主要構造材料であるコンクリートを主体とした研究を行ってきました。コンクリートは歴史的には古く、その起源は古代エジプトまでさかのぼります。現在のようなかたちで建築・土木の構造物に大量普及したのはポンプ圧送の技術が発達してきた昭和20年代頃からなので、他の構造材料と比べると比較的新しい材料ともいえます。一見、コンクリートはどれも同じようで何を研究するのだと思われる方もいらっしゃるかと思いまが、工事現場での取り扱いがその後の性能を左右するコンクリートの難しさは、他の建材、例えば鉄やガラスなどとは全く趣の異なるものです。コンクリートはきちんと造れば石のように美しく長持ちしますが、設計や施工に問題があるとひび割れなどが生じ、美観性を失うだけでなく、耐久性にも影響を及ぼします。一見同じように見えてしまいますから、内部にまで塩分が浸透して鉄筋が錆びる寸前かもしれないし、本当に十分な強度があるのかを確認することはとても難しいのです。

私は、これまで、様々な手法、例えば、電気抵抗を測る、化学分析をする、最近では中性子をコンクリートに照射して内部の状態を調べるなどの技術も利用しつつ、コンクリートの中身がどうなっているか、どのように変化していくのかを探ってきました。本セミナーでは、その一端をご紹介できればと思います。

(2)紺野 道子 講師(人間科学部児童学科)

テーマ 「私の研究活動」
~発達臨床における実践と研究と~
概要

私が発達臨床の現場で臨床心理士として働き始めてから10数年になります。主に幼児から学童にかけてのLD(学習障害)・AD/HD(注意欠陥/多動性障害)・PDD(広汎性発達障害)などの発達障害児の心理アセスメントや治療教育を行ってきました。発達臨床の分野では実践を通して研究を行うことが多いのですが、私は、発達に偏りを持つ子どもにより適切な支援を行うことを目的として、それぞれの発達障害の発達経過や認知能力の特性、個別教育プログラムなどについての研究を行っています。また、子どもの発達過程で生じる問題の早期発見と早期対応のための心理尺度の開発にも取り組んでいます。

(3)水野谷 悌子 講師(都市生活学部都市生活学科)

テーマ 「印象を左右する色彩の力」
概要

色彩は生活の中で様々な視覚的情報伝達の重要素のひとつとなり、モノの売れ行きを左右し、印象を大きく変え、また心理面にも影響を与えます。

20代、30代の頃の私はグラフィックデザイン分野の制作の仕事に携わっておりましたが、当時色彩を自在に使いこなす難しさに直面しました。幼児でも容易に色を選び配色することは簡単にできますが、イメージどおりに色彩表現することはテクニックのみならず、多角的な視点をもとに検討することが必要だと痛感しておりました。学生時代に色彩学を学んでいたにもかかわらず、実務に活かせる学び方をしていなかったと反省し、再び学び直したことが研究へのきっかけに繋がりました。

色彩分野の幅の広さと奥深さは、私にとっての色彩の位置付けを大きく変え、その重要性と不思議な力に魅了されたといえます。

私の研究は、個人的内面から景観・風土、また文化と心理的視点で色彩を考察します。セミナーでは色彩の力を感じて下さい。

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